1995年1月17日の早朝、マグニチュード7.3の地震によって約6,000人もの命が奪われ、約20万戸の建築物が全半壊した阪神・淡路大震災は、まだ私たちの記憶に新しく残っています。
兵庫県警の発表によると、この地震によってなくなられた方の80%以上が住宅の倒壊による圧死とされています。私たちの生活基盤である大切な住宅が、私たち自身の命を奪ってしまうという悲しい結果をもたらせました。
何故、こんなことが起こってしまうのか?多くの研究者や専門家の調査報告書によると、いくつかの要因の中に「シロアリ、腐朽などによる生物劣化」という項目が挙げられています。実際、倒壊した住宅の80%がシロアリ・腐朽による被害を受けていたと日本建築学会近畿支部編「兵庫県南部地震木造建築物の被害」が発表しています。その一方、シロアリ・腐朽による被害が認められなかった住宅では倒壊率が40%未満と発表されています。
自分で水を運べないため、餌となる木材が常に湿っていることが必要です。そのため、被害は風呂場、台所、洗面所、トイレなどの水周りに多く発生しますが、雨漏りや結露によって水が補給されれば、それ以外の場所でも加害される危険があります。
自分で水を運びながら加害するため、その被害は建物全体におよびます。地中などにつくった巣を中心として、100m以上の範囲で活動を行うこともあり、世界のシロアリの中で最も被害の激しいシロアリの1つと言われています。
シロアリが及ぼす被害は広範囲です。気付いた時は、被害がかなり進行しているケースが多いことが特徴です。シロアリは、木材・紙はもちろんのこと、プラスチック・鉛・コンクリート・ケーブルなども消化はしませんが加害します。また、最近では住宅の断熱材への被害事例も数多く報告されています。