
世界遺産に登録されている、 カンボジアのアンコール遺跡は9~15世紀に建設されたクメール王朝の文化遺産です。そのひとつである「アンコール・トム」の中心に位置する「バイヨン寺院」は仏教寺院であり、 四面観世音菩薩が非常に有名ですが、正面向かって右側に位置する北経蔵と言う石造りの建物について、 数年前より日本国政府アンコール遺跡救済チームが修復工事を手がけていました。

1998年の10月頃、日本国政府アンコール遺跡救済チームから、 当社に対しシロアリ防除に関する派遣要請があり、11月末に現地を訪問して、生息しているシロアリの状況及び種の同定、 乳剤を用いる場合の希釈液(アンコール・ワットの堀の水)の水質調査及び乳化した場合の薬液の安定性、 使用する薬剤の基壇を構成する材質に対する影響、薬剤の施工性等について検討しました。
現地で見つかったシロアリは、テングシロアリ、キノコシロアリなどで、キノコシロアリは大きな蟻塚を作って、 その中でキノコを栽培するシロアリです。また、薬剤の選定にあたっては、基壇のタタキへの影響を試験し、乳剤を使用することとなり、現場では「メトロフェン乳剤」が使用されました。

当社の1999年版卓上カレンダーのテーマは「世界遺産」で、表紙はアンコール・ワットでした。
アンコール遺跡に観光でいらっしゃる際には、バイヨン北経蔵の保護に、当社の技術が生かされていることを思い出してください。